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【内閣府推計】南海トラフの震度・津波高・浸水域
平成24年8月29日、内閣府に設置された「南海トラフの巨大地震モデル検討会」から、新しい想定に基づく震度分布・津波高・浸水域等が公表されました。
今回の公表内容は、平成24年3月31日に公表された推計結果について、より詳細な検討がなされたものです。
南海トラフの巨大地震とは
- 静岡県の駿河湾から九州の日向灘に延びる海底のくぼみ「南海トラフ」の一帯を震源域とする地震で、東海・東南海・南海の各地震が発生してきましたが、国は一帯が同時に動く事態を想定したものです。
- 平成23年に発生した東北地方太平洋沖地震で得られたデータを含め、現時点の最新の科学的知見に基づき、発生しうる最大クラスの地震・津波を推計したものです。
- その発生時期を予測することは出来ませんが、その発生頻度は極めて低いものとされています。
- 今回の公表は、南海トラフにおいて次に発生する、地震・津波の想定ではありません。
地震・津波への対応は
- 素早い避難は最も有効かつ重要な津波対策です。
- 最大クラスの津波の高さや津波到達時間が実際に避難するに当って厳しいものであるからといって、避難をはじめから諦めることは最も避けなければならないことです。
- これまで取り組んできた避難訓練などが無意味になるものではなく、条件が厳しくなったと受け止め「非常に大きな津波が起こりうるという」ことを念頭に置き、「強い揺れや、揺れが弱くても長い揺れが起きたら逃げる」と言う事を、常々一人ひとりがしっかりと認識しましょう。
これまでの経緯
平成23年8月………国において南海トラフの巨大地震モデル検討会設置
平成24年3月31日…第1次報告・震度分布(250メートル四方単位)、津波高(50メートル四方単位)の結果公表
平成24年8月29日…第2次報告・震度分布(250メートル四方単位)、津波高(10メートル四方単位)の結果公表
地震動について
岸和田市の最大震度は「震度6弱」とされています。
静岡県富士川河口断層帯北端付近から九州の日向灘南西方向までを想定しうる最大の震源域とし、様々なパターンで計算をおこない、250メートル四方(メッシュ)単位で震度を推定、それぞれのケースごとに各市町村(政令市は区)の中で最大となる震度が示されました。
大阪府におきましては、想定される震源域の中で陸側で地震が発生(強震断層モデル、マグニチュード9.0)した場合が最大震度となります。(岸和田市の震度は3月31日公表と同様です。)
大阪府内の状況
最大震度 | 数 | 市(区)町村名 |
---|---|---|
6強 | 23 | 大阪市都島区、西区、東淀川区、東成区、旭区、城東区、北区、豊中市、吹田市、茨木市、摂津市、高槻市、島本町、門真市、寝屋川市、枚方市、大東市、東大阪市、泉佐野市、泉南市、田尻町、阪南市、岬町 |
6弱 | 48 | 大阪市福島区、此花区、港区、大正区、天王寺区、浪速区、西淀川区、生野区、阿倍野区、住吉区、東住吉区、西成区、淀川区、鶴見区、住之江区、平野区、中央区、堺市堺区、中区、東区、西区、南区、北区、美原区、豊能町、箕面市、池田市、守口市、交野市、四條畷市、八尾市、柏原市、松原市、藤井寺市、羽曳野市、大阪狭山市、富田林市、太子町、河南町、千早赤阪村、河内長野市、高石市、泉大津市、忠岡町、和泉市、岸和田市、貝塚市、熊取町 |
5強 | 1 | 能勢町 |
津波について
岸和田市の津波高は、最大約5m(平均値約4m)と想定されています。
津波高については、地震を引き起こす震源断層面の滑り(津波断層モデル、マグニチュード9.1)方により、11のケースが示されました。それぞれのケースで10メートル四方(メッシュ)単位の津波高を推計しています。3月31日の公表では、50メートル四方(メッシュ)単位の津波高であったため、今回の発表は、より精度の高いものとなっています。
岸和田市の場合は、紀伊半島沖から四国沖の「大すべり域+超大すべり域」において津波が発生した場合が、最も津波高が高くなると想定されています。
大阪府内の津波高は下表のとおりです
市(区)町名 |
津波高(今回公表)※ |
3月31日公表値 |
大阪府の2倍想定 |
津波の最短到達時間 |
||
---|---|---|---|---|---|---|
最大値 |
平均値 |
津波高1メートル |
津波高3メートル |
|||
大阪市此花区 |
4メートル |
4メートル |
3.8メートル |
5.6メートル |
113分 |
|
大阪市港区 |
4メートル |
4メートル |
3.4メートル |
5.6メートル |
121分 |
|
大阪市大正区 |
4メートル |
4メートル |
3.2メートル |
5.6メートル |
122分 |
|
大阪市西淀川区 |
4メートル |
4メートル |
3.8メートル |
5.6メートル |
120分 |
|
大阪市住之江区 |
5メートル |
4メートル |
3.8メートル |
5.6メートル |
110分 |
|
堺市堺区 |
5メートル |
4メートル |
3.5メートル |
6.8メートル |
114分 |
132分 |
堺市西区 |
5メートル |
4メートル |
4.0メートル |
6.8メートル |
106分 |
113分 |
高石市 |
5メートル |
5メートル |
4.0メートル |
6.4メートル |
105分 |
113分 |
泉大津市 |
5メートル |
4メートル |
3.7メートル |
6.4メートル |
98分 |
|
泉北郡忠岡町 |
5メートル |
4メートル |
3.4メートル |
5.6メートル |
98分 |
|
岸和田市 |
5メートル |
4メートル |
3.8メートル |
5.6メートル |
95分 |
105分 |
貝塚市 |
4メートル |
4メートル |
3.6メートル |
5.6メートル |
90分 |
|
泉佐野市 |
4メートル |
3メートル |
3.5メートル |
4.6メートル |
84分 |
|
泉南郡田尻町 |
4メートル |
3メートル |
3.3メートル |
4.2メートル |
83分 |
|
泉南市 |
4メートル |
3メートル |
3.2メートル |
3.8メートル |
77分 |
|
阪南市 |
4メートル |
3メートル |
3.4メートル |
3.6メートル |
72分 |
|
泉南郡岬町 |
4メートル |
3メートル |
3.3メートル |
3.6メートル |
59分 |
|
※ 今回の公表の津波高は、小数点以下を切上げた数値です。
例えば、岸和田市の最大津波高の5メートルは、4.05メートルから5.04メートルの範囲となります。
※ 市町ごとの最大値について、今回の検討では場所は特定されていません。
南海トラフの巨大地震モデル検討会による津波の伝搬状況のシミュレーション画像
浸水深・浸水域について
岸和田市の津波浸水域(1センチメートル以上)は360ヘクタールと想定されています。
津波高の推計に用いられた11ケース毎に浸水域が示されています。大阪府内の浸水面積が一番広くなるケースでの各市町の浸水域(浸水深1センチメートル以上)の面積は以下のとおりです。
(単位:ヘクタール)
浸水域 |
市(区)町 |
浸水域 |
市(区)町 |
浸水域 |
|
---|---|---|---|---|---|
大阪市此花区 |
30 |
堺市西区 |
620 |
泉佐野市 |
70 |
大阪市港区 |
30 |
豊中市 |
20 |
田尻町 |
20 |
大阪市西淀川区 |
20 |
高石市 |
510 |
泉南市 |
50 |
大阪市西成区 |
40 |
泉大津市 |
460 |
阪南市 |
20 |
大阪市淀川区 |
100 |
忠岡町 |
60 |
岬町 |
70 |
大阪市住之江区 |
50 |
岸和田市 |
360 |
計 |
3,180 |
堺市堺区 |
570 |
貝塚市 |
80 |
|
|
岸和田市の津波による地域ごとの浸水深は、下の地図のとおりです。
想定条件:四国沖に「大すべり域+超大すべり域」を設定(堤防:津波が堤防等を越流すると破堤)
岸和田市域
大芝地区
春木地区
朝暘・大宮地区1
朝暘・大宮地区2
中央・浜地区
浜地区
大阪府域が最も被害が大きいと想定される被害想定(市町村ごとの被害想定は後日大阪府から公表される予定です。
人的被害
紀伊半島~四国沖に「大すべり域+超大すべり域」を設定・冬夕方・風速8m・津波に対する早期避難率が低い場合
死者数
建物倒壊 | 津波 | 急傾斜地崩壊 | 火災 | ブロック塀・ 自販機等の転倒 |
堤防・水門の 機能不全 |
合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
約3,000 | 約2,400 | 約10 | 約2,100 | 約300 | 約2,100 | 約9,800 |
負傷者数
建物倒壊 | 津波 | 急傾斜地崩壊 | 火災 | ブロック塀・ 自販機等の転倒 |
堤防・水門の 機能不全 |
合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
約38,000 | 約1,400 | 約10 | 約16,000 | 約9,700 | 約500 | 約65,500 |
建物被害
四国沖に「大すべり域+超大すべり域」を設定・冬夕方・風速8メートル
全壊棟数
揺れ | 液状化 | 津波 | 急傾斜地崩壊 | 火災 | 堤防・水門の 機能不全 |
合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
約59,000 | 約16,000 | 約700 | 約100 | 約260,000 | 約73,000 | 約344,300 |
(注)被害想定については、マクロの被害を把握する目的で実施されており、数値はある程度幅があり、四捨五入の関係で合計が合わない場合があります。
被害を軽減する方策として
- 建物の耐震化、家具等の転落防止対策の実施
- 津波に対して、全員が発災後すぐに避難し、既存の津波避難ビルを活用
- 急傾斜地崩壊危険箇所の整備
- 電熱器具からの出火を防止する感電ブレーカ等の設置、初期消火率の向上
- ブロック塀、自動販売機の転等防止及び落下物対策の実施
以上の対策を推進することにより、80パーセント以上の被害が低減されます。
今後の岸和田市としての対応
現在、大阪府ではより詳細なシミュレーションを行い、被害想定を検証しています。
岸和田市では、今回の国の公表及び大阪府の詳細な公表をもとに「地域防災計画」の改訂に着手すると共に、市民の避難を軸とした津波対策等を進めてまいります。
国の公表内容
国の公表内容は、内閣府のホームページをご覧ください。