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民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について

更新日:2026年10月1日掲載 印刷ページ表示

民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について

法改正の概要

 令和6年5月17日、民法等の一部を改正する法律が成立し、令和8年4月1日に施行されました。この法律は、父母の離婚等に直面する子の利益を確保するため、子の養育に関する父母の責務を明確化するとともに、親権・監護、養育費、親子交流などに関する民法等の規定を見直すものです。

1.親の責務に関するルールの明確化

 父母が、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを養育する責務を負うことなどが明確化されています。

こどもの人格の尊重

 父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもの心身の健全な発達を図るため、こどもを養育する責務を負います。その際には、こどもの意見に耳を傾け、その意見を適切な形で尊重することを含め、こどもの人格を尊重しなければなりません。

こどもの扶養

 父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを扶養する責務を負います。この扶養の程度は、こどもが親と同程度の水準の生活を維持することができるようなもの(生活保持義務)でなければなりません。

父母間の人格尊重・協力義務

 父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもの利益のため、互いに人格を尊重し協力しなければなりません。次のような行為は、この義務に違反する場合があります。なお、DVや虐待から避難するために必要な場合などはこの義務に違反しません。
・父母の一方から他方への暴行、脅迫、暴言等の相手の心身に悪影響を及ぼす言動や誹謗中傷、濫訴等
・父母の一方が、他方による日常的なこどもの監護に、不当に干渉すること
・父母の一方が、特段の理由なく他方に無断でこどもを転居させること
・父母間で親子交流の取決めがされたにもかかわらず、その一方が、特段の理由なく、その実施を拒むこと

父母相互の人格尊重・協力義務に違反する行為は、上記以外にも考えられます。法務省HPにQ&A形式の解説資料が掲載されていますのでご確認ください。

こどもの利益のための親権行使

 親権は、こどもの利益のために行使しなければなりません。

2.親権に関するルールの見直し

父母の離婚後の親権者

 父母の婚姻中は父母双方が親権者ですが、これまでの民法では、離婚後は、父母の一方のみを親権者と定めなければなりませんでした。
 今回の改正により、離婚後は、共同親権の定めをすることも、単独親権の定めをすることもできるようになります。

【親権者の定め方】
協議離婚の場合

 父母が、その協議により、親権者を父母双方とするか、その一方とするかを定めます。

父母の協議が調わない場合や裁判離婚の場合

 家庭裁判所が、父母とこどもとの関係や、父と母との関係などの様々な事情を考慮した上で、こどもの利益の観点から、親権者を父母双方とするか、その一方とするかを定めます。この裁判手続では、家庭裁判所は、父母それぞれから意見を聴かなければならず、こどもの意思を把握するよう努めなければなりません。

 次のような場合には、家庭裁判所は必ず単独親権の定めをすることとされています。

●虐待のおそれがあると認められるとき

●DVのおそれその他の事情により父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき

※殴る・蹴る等の身体的な暴力を伴う虐待・DVに限定されません。

※また、これらの場合以外にも、共同親権と定めることでこどもの利益を害すると認められるときは、裁判所は必ず単独親権の定めをすることとされています。

【親権者の変更】

 離婚後の親権者については、こどもの利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所が、こども自身やその親族の請求により、親権者の変更(父母の一方から他の一方/一方から双方/双方から一方)をすることができます。離婚前の父母間に一方からの暴力等があり、対等な立場での合意形成が困難であったといったケースでは、こどもにとって不利益となるおそれがあるため、この手続によって親権者の定めを是正することができます。

 親権者の変更の場合も、上の2つの●に当てはまるときは、家庭裁判所は必ず単独親権の定めをすることになります。

親権の行使方法(父母双方が親権者である場合)

 親権は、父母が共同して行います。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他方が行います。

 なお、次のような場合は、親権の単独行使ができます。

【監護教育に関する日常の行為をするとき】

 日々の生活の中で生じる監護教育に関する行為で、こどもに重大な影響を与えないものをいいます。個別具体的な事情によりますが、例えば、日常の行為に当たる例、当たらない例としては、次のような場合があります。

日常の行為に当たる例及び当たらない例
日常の行為に当たる例(単独行使可) 日常の行為に当たらない例(共同行使)

⃝食事や服装の決定

⃝短期間の観光目的での旅行

⃝心身に重大な影響を与えない医療行為の決定

⃝通常のワクチンの接種

⃝習い事

⃝高校生の放課後のアルバイトの許可

⃝こどもの転居

⃝進路に影響する進学先の決定(高校に進学せずに就職するなどの判断を含む)

⃝心身に重大な影響を与える医療行為の決定

⃝財産の管理(預金口座の開設など)

【こどもの利益のため急迫の事情があるとき】

 父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては親権の行使が間に合わず、こどもの利益を害するおそれがある場合をいいます。急迫の事情があるときは、日常の行為にあたらないものについても、父母の一方が単独で親権を行うことができます。

個別具体的な事情によりますが、例えば、急迫の事情の例としては、次のような場合があります。

●DVや虐待からの避難(こどもの転居などを含みます)をする必要がある場合(被害直後に限りません)

●こどもに緊急の医療行為を受けさせる必要がある場合

●入学試験の結果発表後に入学手続の期限が迫っているような場合 など

【親権行使者の指定】

 父母が共同して親権を行うべき特定の事項(例:急迫の事情があるとはいえない場面におけるこどもの転居や財産管理など)について、父母の意見が対立するときは、家庭裁判所が、父又は母の請求により、父母の一方を当該事項に係る親権行使者に指定することができます。親権行使者は、その事項について、単独で親権を行うことができます。

※未成年者のパスポートの申請の際には、親権者の同意が必要になります。詳しくは各都道府県のパスポートセンターや在外公館(大使館等)までお問い合わせください。

監護についての定め

 父母の離婚後のこどもの監護に関するルールが明確化されています。

【監護の分担】

 父母が離婚するときは、こどもの監護の分担についての定めをすることができます。この定めをするに当たっては、こどもの利益を最も優先して考慮しなければなりません。監護の分担の例としては、次のような定めが考えられます。

・平日は父母の一方がこどもの監護を担当し、土日祝日は他方が担当するといった定めや、父母が週ごとに交互に子を監護するといった定め

・こどもの教育に関する決定は一方の親に委ねるが、その他の重要な事項については父母が話し合って決めることとするといった定め

【監護者の権限】

 離婚後の父母双方を親権者とした場合であっても、その一方を「監護者」と定めることで、こどもの監護をその一方に委ねることができます。

 このような定めがされた場合には、「監護者」は、日常の行為に限らず、こどもの監護教育や居所・職業の決定を、単独ですることができます。「監護者」でない親権者は、監護者がこどもの監護等をすることを妨害してはなりませんが、監護者による監護等を妨害しない範囲であれば、親子交流の機会などに、こどもの監護をすることができます。

3.養育費の支払確保に向けた見直し

 

・養育費の取決めに基づく民事執行手続が容易になり、取決めの実効性が向上します。
・養育費の取決めがない場合にも、暫定的な養育費(法定養育費)を請求することができる制度が新設されます。
・養育費に関する裁判手続の利便性が向上します。父母が、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを養育する責務を負うことなどが明確化されています。

合意の実効性の向上

 これまでの民法では、父母間で養育費の支払を取り決めていたとしても、養育費の支払がなかったときに養育費の支払義務を負う親の財産を差し押さえるためには、公正証書や調停調書、審判書などの「債務名義」が必要でした。
 今回の改正により、養育費債権に「先取特権」と呼ばれる優先権が付与されるため、債務名義がなくても、養育費の取決めの際に父母間で作成した文書に基づいて、差押えの手続を申し立てることができるようになります。養育費のうち先取特権が付与される上限額は、子一人当たり月額8万円です。なお、民法等改正法の施行前(令和8年3月31日以前)に養育費の取決めがされていた場合には、令和8年4月1日以降に生ずる養育費に限って先取特権が付与されます。

暫定的に請求することができる養育費(法定養育費)の新設

 これまでの民法では、父母の協議や家庭裁判所の手続により養育費の額を取り決めなければ、養育費を請求することができませんでした。
 今回の改正により、離婚のときに養育費の取決めをしていなくても、離婚のときから引き続きこどもの監護を主として行う父母は、他方に対して、暫定的に一定額の養育費を請求することができるようになります。その額は、子一人当たり月額2万円です。また、この暫定的な養育費の支払がされないときは、差押えの手続を申し立てることができます。なお、改正法の施行後に離婚した場合に、この暫定的な養育費を請求することができます。
 この新設された制度は、あくまでも養育費の取決めをするまでの暫定的・補充的なものです。こどもの健やかな成長を支えるためには、父母の協議や家庭裁判所の手続により、各自の収入などを踏まえた適正な額の養育費の取決めをしていただくことが重要です。

裁判手続の利便性向上

 養育費に関する裁判手続では、各自の収入を基礎として、養育費の額を算定することとなります。そこで、今回の改正では、手続をスムーズに進めるために、家庭裁判所が、当事者に対して収入情報の開示を命じることができることとしています。

 養育費を請求するための民事執行の手続においては、地方裁判所に対する1回の申立てで、

(1)財産開示手続:養育費の支払義務者は、その保有する財産を開示しなければならない

(2)情報提供命令:市区町村に対し、養育費の支払義務者の給与情報の提供を命じる

(3)債権差押命令:判明した給与債権を差し押さえる

という一連の手続を申請することができるようになります。

4.安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し

・家庭裁判所の手続中に親子交流を試行的に行うこと(試行的実施)に関する制度が設けられています。
・婚姻中の父母が別居している場面の親子交流のルールが明確化されています。
・父母以外の親族(祖父母等)とこどもとの交流に関するルールが設けられています。

親子交流の試行的実施

 家庭裁判所は、調停・審判において、こどもの利益を最優先に考慮して親子交流の定めをします。その際には、適切な親子交流を実現するため、資料を収集して調査をしたり、父母との間で様々な調整をします。こうした調査や調整に当たっては、手続中に親子交流を試行的に実施し、その状況や結果を把握することが望ましい場合があります。そこで、今回の改正では、親子交流の試行的実施に関する制度を設けています。その具体的な手続は次のとおりです。​

(1) 家庭裁判所は、こどもの心身の状況に照らして相当であるかや、親子交流の試行的実施の必要性があるかなどを考慮して、親子交流の試行的実施を促すか否かを検討します。

(2) 家庭裁判所は、(1)の検討を踏まえ、当事者に対して、親子交流の試行的実施を促すことができます。試行的実施を促す場合、家庭裁判所は、実施の条件(日時、場所、方法等)を決めたり、約束事項等を定めることができます。

(3) 当事者は、家庭裁判所からの促しに応じて、親子交流を試行的に実施します。

(4) 試行的実施の状況や結果は、家庭裁判所調査官による調査や、当事者である父母自身による報告を通じて、家庭裁判所と父母との間で共有されます。

(5) 家庭裁判所は、(4)の結果を踏まえ、調停の成立や審判に向けて、必要に応じて更に調整等を行います。

※家庭裁判所の判断により、(1)〜(5)の各段階で、家庭裁判所調査官が関与することがあります。

婚姻中別居の場合の親子交流

 父母が婚姻中に、様々な理由により、こどもと別居することがありますが、これまではそのような場合の親子交流に関する規定がありませんでした。そこで、今回の改正では、婚姻中別居の場合の親子交流について、次のようなルールを明らかにしています。

(1) 婚姻中別居の場合の親子交流については父母の協議により定める。

(2) 協議が成立しない場合には、家庭裁判所の審判等により定める。

(3) (1)や(2)に当たっては、こどもの利益を最優先に考慮する。

父母以外の親族とこどもの交流

 これまで民法には父母以外の親族(例えば、祖父母等)とこどもとの交流に関する規定はありませんでした。しかし、例えば、祖父母等とこどもとの間に親子関係に準ずるような親密な関係があったような場合には、父母の離婚後も、交流を継続することがこどもにとって望ましい場合があります。そこで、今回の改正では、こどもの利益のため特に必要があるときは、家庭裁判所は、父母以外の親族とこどもとの交流を実施するよう定めることができることとしています。

 また、こどもが父母以外の親族と交流をするかどうかを決めるのは、原則として父母ですが、例えば、父母の一方が死亡したり行方不明になったりした場合など、ほかに適当な方法がないときは、次の(1)~(3)の親族が、自ら、家庭裁判所に申立てをすることができるようになります。

(1) 祖父母

(2) 兄弟姉妹

(3) (1)(2)以外で過去にこどもを監護していた親族

参考;関連省庁からの情報

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