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自治基本条例が制定されただけでは市民参画の下に市民自治都市が実現されるものではありません。これをどう具体化させていくかが重要な課題となります。自治基本条例の基本理念に基づいて、これらの様々なことが、手続として整備され、制度として構築され、それに対応する庁内の体制が整ってこそ、その実効性が確保されるといえます。
自治基本条例に関連して整備すべきものとして次のものが考えられます。
(意見聴取制度)
第18条 市長及び他の執行機関は、次の各号に掲げる事項のうち市民生活に重要な影響を及ぼすものについては、市民に当該事項に関する情報を提供し、意見を求めなければならない。
(1) 計画の策定、変更又は廃止
(2) 条例の制定、改正又は廃止
(3) 施策の実施、変更又は廃止
2 市長及び他の執行機関は、前項の規定により意見を求めるときは、適切な方法を選択し、市民から提示された意見に対して回答し、これを公表しなければならない。
3 前2項に規定する意見の聴取に関する手続その他必要な事項については、別に条例で定める。
何が「市民生活に重要な影響を及ぼすもの」なのか、どの時点で、どのような方法で意見を聴取するのか、適切な方法(パブリックコメント、公聴会等)とは何なのか等について別途条例で定めることとしました。
(住民投票)
第20条 市長は、岸和田市が直面する将来にかかわる重要課題について、定住外国人を含む住民のうち18歳以上の者が、その総数の4分の1以上の者の連署をもって住民投票を市長に請求したときは、直接住民の意思を問うため住民投票を実施しなければならない。
2 住民投票の投票権を有する者は、定住外国人を含む住民のうち18歳以上の者とする。
3 市は、住民投票の結果を尊重しなければならない。
4 住民投票の実施に関する手続その他必要な事項については、別に条例で定める。
市民から請求しようとするときの具体的な手続、投票資格、住民投票の形式等を別途条例で定めることとしました。
(外部機関その他第三者による監査)
第29条 市は、適正で、効率的かつ効果的な行財政の運営を確保するため、必要に応じて外部機関その他第三者(以下「外部機関等」という。)に監査を実施させることができる。
2 住民は、前項に規定する目的を達成するため、市に対して監査委員に代えて外部機関等による監査の実施を請求することができる。
3 市は、前項に規定する請求があったときは、外部機関等に監査を実施させることができ、その結果を公表するものとする。ただし、監査を実施させないときはその理由を公表するものとする。
4 前3項に規定する外部機関等による監査の実施に関する手続その他必要な事項については、別に条例で定める。
「外部機関その他第三者による監査」とは何なのか、請求の要件はどうなのか、手続はどうするのか等を別途条例で定めることとしました。
(審議会等の運営)
第19条 市長及び他の執行機関は、市の執行機関に設置する審議会等の委員を選任する場合は、委員構成における中立性の保持に留意するとともに、原則としてその一部を市民からの公募により行わなければならない。
2 市長及び他の執行機関は、審議会等の会議及び会議録を原則として公開しなければならない。
3 前2項に規定する審議会等の委員の公募並びに会議及び会議録の公開に関する手続その他必要な事項については、別に条例で定める。
これまで、「岸和田市附属機関条例」に審議会名が列挙されており、公募方法等については「岸和田市審議会等の委員の市民公募に関する要綱」に規定され、その他重複選任、在任期間等については「岸和田市審議会等の委員の選任に関する指針」に規定されていました。これらを統廃合して条例に規定することとしました。
これは、地方自治法第96条第2項の「前項に定めるものを除くほか、普通地方公共団体は、条例で普通地方公共団体に関する事件(法定受託事務に係るものを除く。)につき議会の議決すべきものを定めることができる。」という規定に基づくもので、第96条第1項に制限列挙している議決事件に加えて、市が議会の議決が必要とする事件を条例によって追加できるとするものです。したがって、そのような必要が生じたときに別途条例で定めることになります。
議会基本条例については、定めるのは議会であり、努力規定になっているので、機が熟したときに制定することになります。
平成16年から17年にかけて、協働推進プロジェクトチームで、協働についての基本的な考え方と具体的事業についてまとめた「公民協働推進の指針」を作成しました。これらは岸和田市の実状に沿ったものであり、本条を具現化するものとなっています。
この条文は、総論的な規定で具体的な方法については、第18条(意見聴取制度)、第19条(審議会等)、第20条(住民投票)がありますが、市民が参画できるのはそれだけではなく、それ以外の方法、制度を新たに設ける場合必要となってきます。
自治基本条例の内容を十分把握した上で、各課が所管する条例、規則等について、改正等が必要なものは、各課の責任で改正等の手続を行うこととしました。
これらのことを実現させるため、庁内に「条例整備チーム」を組織し、関連条例を整備し、制度として構築することとしました。
(1) 自治基本条例とそれに基づく条例は、全庁的に関わってくるものであり、全庁的にそれらに対応できる制度を整備しておかなければならず、周知徹底を図り、各課で体制を整えておかなければならないことから、全庁的な取組みが必要である。
(2) 自治基本条例が制定され、根幹的なものはそこに規定されたので、その実効性を確保するための個々の手続き的な条例は、基本的に行政で作成する。
(3) ただし、自治基本条例には市民参画を謳っているので、率先して市民の意見等を把握していく。
(1) 自治基本条例制定に伴う「別に定める」4つの条例(意見聴取制度、審議会等、住民投票、外部機関その他第三者による監査)の整備
(2) 各条例の具体的な逐条解釈・手引書の作成
(3) 各制度の構築
(1) チーム内に、それぞれの条例を個別に検討するグループ(意見聴取グループ、審議会等グループ、住民投票グループ、外部監査グループ)を設け、基本的にグループごとに条例原案を作成。
(2) 各グループのうち、それぞれの条例を所管する課がリードし、各グループで議論を重ねて、条例原案としてまとめた。
ア 意見聴取グループ 広報公聴課
イ 審議会等グループ 総務管財課
ウ 住民投票グループ 企画課
エ 外部監査グループ 改革推進室
(3) 基本的に月2回程度の会議(それぞれのグループ毎に日程を調整)
(4) 必要に応じてチーム会議を開催し、それぞれのグループでまとまった条例案をチーム全体で議論した。
所属 | |
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1 | 市長公室広報公聴課(所管課) |
2 | 市民生活部自治振興課 |
3 | 都市整備部建設指導課 |
4 | 建設部街路課 |
5 | 建設部建築住宅課 |
市長公室広報公聴課長(所管課長) | |
企画調整部企画課 |
所属 | |
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1 | 総務部総務管財課(所管課) |
2 | 環境部環境保全課 |
3 | 保健福祉部介護保険課 |
4 | 教育総務部学校管理課 |
5 | 生涯学習部生涯学習課 |
総務部総務管財課長(所管課長) |
所属 | |
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企画調整部企画課(所管課) | |
1 | 企画調整部情報政策課 |
2 | 市民生活部市民課 |
3 | 保健福祉部生活福祉課 |
4 | 児童福祉部保育課 |
5 | 選挙管理委員会事務局 |
企画調整部企画課長(所管課長) |
所属 | |
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1 | 企画調整部改革推進室(所管課) |
2 | 市民生活部保険年金課 |
3 | 都市整備部建設指導課 |
4 | 市民病院事務局 |
5 | 監査事務局 |
企画調整部改革推進室長(所管課長) | |
企画調整部企画課 |