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「フレイル」という言葉を聞いたことがありますか?
「聞いたことはあるけど、よくわからない」という人が多いのではないでしょうか。
今号では「フレイル」の基礎知識や兆候、簡単にできる予防方法などを紹介します。
いつまでも元気に過ごすため、今からフレイル予防を始めましょう。
問合せ 介護保険課地域包括ケア推進担当 電話:072-423-9475 ファクス:072-423-6927
公益社団法人 大阪府理学療法士会 副会長
中村 昌司さん
フレイルとは「老化に伴う心身の衰え・虚弱」のことで、健康と要介護状態との境目です(下図参照)。誰もが陥る可能性がありますが、適切に対応すれば健康状態に改善するタイミングです。原因は個人によって様々ですが、意図せず体重が減ったり、以前はできた動きができなくなったときは注意が必要です。
※東京大学高齢社会総合研究機構・飯島勝矢「フレイル予防ハンドブック」より一部改変し引用。
「食べる(栄養)・歩く(運動)・話す(社会参加)」の3つがポイントで、バランス良く取り入れることが重要です。また、自分でできる簡単なフレイルチェックの方法は「指輪っかテスト」や「イレブン・チェック」などが一般的ですが、青信号の間に横断歩道を渡り切れないなど、歩くスピードが遅くなった場合も注意が必要です。
自分自身や周囲の人に「むせやすい」「食欲がない」「引きこもりがち」「元気がない」などのフレイルの兆候が見られるときは、地域包括支援センターに相談してください。早めの対処が早期回復につながります。
回答Bに丸が多いほど、フレイルの可能性が高まります。
イレブン・チェック11項目 |
回答A |
回答B |
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栄養 |
ほぼ同じ年齢の同性と比較して健康に気をつけた食事を心がけていますか |
はい |
いいえ |
野菜料理と主菜(肉または魚)を両方とも毎日2回以上は食べていますか |
はい |
いいえ |
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「さきいか」「たくあん」くらいの固さの食品を普通に噛み切れますか |
はい |
いいえ |
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お茶や汁物でむせることがありますか |
いいえ |
はい |
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運動 |
1回30分以上の汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施していますか |
はい |
いいえ |
日常生活において、歩行または同等の身体活動を1日1時間以上実施していますか |
はい |
いいえ |
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ほぼ同じ年齢の同性と比較して歩く速度が速いと思いますか |
はい |
いいえ |
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社会参加 |
昨年と比べて外出の回数が減っていますか |
いいえ |
はい |
1日に1回以上は、誰かと一緒に食事をしますか |
はい |
いいえ |
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自分が活気に溢れていると思いますか |
はい |
いいえ |
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何よりまず、物忘れが気になりますか |
いいえ |
はい |
※東京大学高齢社会総合研究機構・飯島勝矢「フレイル予防ハンドブック」より引用。
親指と人差し指で輪をつくり、利き足でないふくらはぎの一番太い部分を囲んでみましょう。
隙間ができるとサルコペニア(筋肉の衰え)の危険度が高い。
囲めない(サルコペニアの危険度が低い)
ちょうど囲める
隙間ができる(サルコペニアの危険度が高い)
※東京大学高齢社会総合研究機構・飯島勝矢「フレイル予防ハンドブック」より引用。
栄養(食事・口腔機能)・運動・社会参加をバランスよく実践し、フレイルを予防しましょう。
健康のために「主食(ごはん)・主菜(魚・肉)・副菜(野菜)」を3食しっかり食べることが重要です。たくさんのキャベツやネギ、お肉、イカ、エビを入れたお好み焼きは「主食・主菜・副菜」がそろうのでおすすめです。お好み焼きのほかカレーやシチューもおすすめです。1回の食事量が少ない場合は、間食をうまく利用しましょう。
カルシウムの吸収を促進するビタミンDの摂取も大切で、食事からだけではなく日光を浴びると体内生成されるので、散歩しながら日光浴しましょう。
「口は健康の入り口」と呼ばれ、オーラルフレイル(口腔機能の低下)になると、フレイル状態になりやすいといわれています。「人と話す」「一口30回以上噛む」「歯みがき・うがい」などを行い、口周りや舌を鍛える・口内環境を整えることはオーラルフレイルの予防につながります。
家に閉じこもりがちな人は、誰かと話したり食事の機会がある人よりも、オーラルフレイルになる可能性が高いです。今すぐ予防を始めましょう。
2つ以上該当で要注意!
高齢でも体を動かすことで筋力を維持・向上できます。日常生活の中に運動を取り入れたり、体操教室や運動イベントなどに参加し、体を動かしましょう。
社会との関わりを失うことがフレイルの入り口です。外出の機会を増やし、フレイルを予防しましょう。
散歩や買い物に出かけたり、趣味の集まりや地域のボランティア活動、サークル活動に参加し、友人や地域の仲間とおしゃべりしながら楽しく過ごしましょう。
トレーニングや体操だけでなく、座る姿勢や洗濯物を干す、台所に立つなど、日常生活の動作も運動の一つになります。安い品を求めスーパーをはしごすれば、体とお財布両方のためになります。
また、週に1回以上は家族以外と接する機会を設けましょう。電話や手紙、メール、SNSなどを通じての交流も社会参加の一つです。体操教室や趣味の教室などの情報は、市介護保険課や地域包括支援センター、広報紙などで集めることができます。
畑町在住 瞿曇 順子さん(81歳)
膝を痛め、一昨年に両膝の人工関節手術をしました。術後、歩くのが大変だったり、生活で使用している自転車に乗ることができずに困り、気持ちが落ち込んでしまいましたが、老人会の「いきいき百歳体操」などで仲間と一緒に体を動かし、久米田寺まで往復2時間のウォーキングができるほど回復しました。
今は、ゴムバンドを使った運動を体操仲間にレクチャーしたり、老人会のウォーキングなどの地域活動に参加しています。仲間と一緒に楽しみながら運動することで続けられています。
専門スタッフが介護や福祉、医療に関する相談を受け付けます。
詳しくはこちら
社協(野田町1丁目 opsol福祉総合センター内)
電話:072-439-0361
いなば荘北部(荒木町2丁目)
電話:072-447-4178
萬寿園葛城の谷(土生町2丁目 泉洋ビル3階)
電話:072-430-5800
萬寿園中部(尾生町)
電話:072-445-7789
社協久米田(下池田町2丁目)
電話:072-445-6616
いなば荘牛滝の谷(稲葉町)
電話:072-479-1212
いきいき百歳体操は、町会館など市内126カ所で実施しています。各地域の実施状況は、地域包括支援センターにお問い合わせください。
また「テレビ岸和田コミチャン12」とYouTube(QRコード)で各体操をご覧いただけます。
いきいき百歳体操YouTube(外部リンク)
3月末まで関連図書を集めた、特設コーナーを設けています。
フレイル回復者が自身の経験談をお話しします。
日時 3月16日(日曜日)午後1時半~3時(30分前受け付け)
場所 春木市民センター(春木若松町)
申込・問合せ 3月13日(木曜日)(手話・要約筆記希望者は3月3日(月曜日))までに電話またはファクス・QRコードで介護保険課へ
申し込みはこちら(外部リンク)